






1960年代から1970年代、著しい変貌を遂げた時代の韓国における若き前衛アーティストたちが生み出した、画期的かつ多岐にわたるジャンルの作品を研究した一冊。戦後韓国のダイナミックかつアバンギャルドで先進的な記録やマニフェスト、記事、一次資料の新訳テキストを交えて紹介する。
本書は、2023年9月から2024年1月にかけて「ソロモン・R・グッゲンハイム美術館(Solomon R. Guggenheim Museum)」で開催された展覧会に伴い刊行された。同美術館の前には韓国の「国立近現代美術館ソウル館」で2023年5月から7月にかけて開催され、「ソロモン・R・グッゲンハイム美術館」での展開は共同開催となる。2024年2月から5月にはロサンゼルスの「ハマー美術館(Hammer Museum)」にも巡回した。
急速な都市化と近代化に駆り立てられ、独裁主義的な故国と国際的になっていく世界に影響を受けた韓国にとって、1960年代と70年代は並外れた激動の時代となった。この時代の若手アーティストは、前例のない社会経済的ないし政治的、物理的な状況に初めて触れたが、「実験芸術(silheom misul)」として幅広く知られる、これまでのジャンルを覆す革新的な前衛芸術をもって応えた。個人またはコレクティブとして、このアーティストたちは先人と決定的に袂を分かち、伝統的な絵画と彫刻の境界を再定義したのである。一方で、パフォーマンス、インスタレーション、写真、映像を通して、素材とプロセスに対し、しばしば挑発的で斬新なアプローチを取り入れた。
本書は、この未知でありながら影響力を強くもった時代を、初めて北アメリカでテーマとして扱った展覧会の開催に伴う一冊である。鋭く新しい研究結果と世界中の公共及び個人収蔵されている作品の図版を多数収め、かつての韓国美術を模った思想や言説に関するそのままの視点を提供すべく、記事、アーティストによるマニフェスト、またその他一次資料の翻訳がまとめられている。この場に含まれる若い韓国人アーティストの世代が、いかにしてアートの力を用いて常に移り変わる現在に立ち向かい、想像を重ねたかを語るストーリーが浮き彫りになっている。
(ディストリビューターのテキストより)
GUGGENHEIM MUSEUM / 280ページ / ハードカバー / 275 x 218 mm / 9780892075614 / 2023年