南アフリカ出身のアーティスト、カーラ・リーシングは、南アフリカの喜望峰の庭園と敷地を周回する、断片的な視覚とテキストのアッサンブラージュを構築している。大航海時代のポルトガル人が名づけたこの岬は、「スパイス・ルート」の中間点に位置し、貴重な海上交通路を開く可能性があると楽観視されていた。後にそこに設置された「リフレッシュメント・ステーション」は、東から西への資本の流れを作り出した。本書は、アパルトヘイト時代の貿易雑誌、観光パンフレット、ナショナル・ジオグラフィックやライフ誌から現代の新聞や家族のアルバムに至るまで、様々な資料とともに、ドキュメンタリー、個人的なエッセイ、写真資料などを積み重ねたものである。この作品は、現在の白人至上主義的な入植者植民地主義を親密かつ批判的に検証し、見る、発見する、集める、成文化する、保存する、名づける、知る、言語化するという行為そのものに関わる倫理と政治を問いかけているのである。
MACK / 192ページ / ソフトカバー / 203 x 153 mm / 9781913620424 / 2021年