








身近な事柄を鋭く観察・分析して作品を制作するライアン・ガンダー。2017年国立国際美術館(大阪)以来、東京ではじめての個展となる、東京オペラシティアートギャラリーでの展覧会にあわせた作品集。オブジェ、インスタレーション、絵画、写真、映像など多岐にわたる幅広い制作活動に一貫しているのが、「見る」ということへの考察である。私たちが普段見過ごしていること、あたりまえと片付けてしまっていること、それすら忘れていることへの注目をうながし、さまざまな問いを抱かせてくれる。
新旧さまざまな作品を組み合わせながら、ひとつの作品として創り上げられる展覧会に沿って構成される本書には、ガンダーが制作活動の初期から持ち続けてきた関心 ── 時間、お金・価値、教育、よく見ないと見えないもの ── が俎上にあげられている。私たち誰にとっても大切なものごとの本質とは?まじめに、少しばかりのユーモアを交えて「そもそも」を考えるガンダーの世界を、頭を柔らかくして読み解いてみてほしい。そこでは、私たちの生きる今という時代のサインがそれぞれに見えてくるはずである。
展覧会出品作品のほか、ライアンから届いたさまざまなアイデアによるインターバルのスケッチが挟み込まれていたり、昨年開催された「ガンダーが選ぶ収蔵品展」の展示風景と作品情報も収録した、見どころ、読みどころ満載の一冊となっている。野村しのぶ(東京オペラシティ アートギャラリー シニア・キュレーター)、青木淳(建築家)による論考も収録。
カバーには今井智己撮影による展示風景をレイアウト、展開すると両面印刷ポスターになる特殊仕様。(出版社のテキストより)
※カバーはあくまでイメージです。
HeHe / 176ページ / ソフトカバー / 257 x 188 mm / 9784908062421 / 2022年